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AIに領収書を渡したら、仕訳まで全部やってくれた話──会計士が本気で試した実録レポート


「記帳って、いつまで人間がやるんだろう」

毎月クライアントから届く領収書の束を処理しながら、そんなことを考えていた。

駐車場のレシート、デパートの手土産袋に入っていた細長い紙、接待の飲食店レシート。金額を確認して、科目を判断して、マネーフォワードに入力する。正確さが求められる割に、思考の負荷が低い作業だ。

ならばAIに任せてみよう──そう思い立ち、Anthropicが開発したAI「Claude」を使って、Google Driveの領収書画像を読み取らせ、マネーフォワード クラウド確定申告への仕訳入力まで自動でやらせる実験を行った。

今回はその実録を、会計士の視点でそのまま書き残しておく。

目次

Claudeを使った実証実験の設定

用意したのはiPhoneで撮影した領収書4枚(HEIC形式)。

Google Driveの「00会計」フォルダに保存し、Claudeにこう伝えた。

「グーグルドライブに保存された領収書を読み取って、マネーフォワードで仕訳を入力してください。」

追加で聞かれたのは、ファイル形式・フォルダ名・使用するマネーフォワードのサービス名・ログイン状況の4点。

Claudeによる的確な確認だった。

答えると、Claudeはブラウザを自律的に操作して作業を開始した。

読み取り精度──会計士として驚いたレベル

ClaudeはGoogle Driveを開き、画像を1枚ずつ確認した。

※ 上記のように、都度アクション許可を行う画面がポップアップされます。

読み取り結果は以下の通りだ。

① 湊町コインパーキング(森パーキング) 2026年4月1日、駐車料金800円、消費税10%。インボイス登録番号まで正確に読み取った。

② 岩田屋三越(ヨーグルトフォーシーズンズ) 2026年3月12日、合計2,960円。10%対象44円・8%対象2,916円という消費税の内訳まで区分して認識した。

③ 天神地下街駐車場 2026年3月1日、270円、クレジット(AMERICAN EXPRESS)支払い。

④ 一休(豪華焼肉ランチ) 2026年3月23日、13,560円、内消費税1,232円(10%)。品目明細(焼肉セット×2)も把握していた。

傾きのある画像、手書き文字、細長いレシートでも精度は高い。

OCRとしての実力は十分実用レベルだと判断した。

勘定科目の判断──ここが肝だった

読み取り後、Claudeは仕訳を一方的に決めずに確認してきた。

「岩田屋での購入は何のためですか?接待交際費?消耗品費?」 「一休の飲食は接待ですか?会議費ですか?」

これは会計実務として正しい姿勢だ。領収書の情報だけでは「目的」はわからない。手土産が取引先向けなのか社内用なのかで科目が変わるし、飲食が接待か打ち合わせかでも異なる。

AIが自己判断して入力してしまうのは、むしろ危険だ。

「手土産は取引先向け」「飲食は接待」と答えると、以下の仕訳内容を確認してからマネーフォワードへの入力に進んだ。

日付勘定科目金額摘要
2026/03/01旅費交通費270円天神地下街駐車場 駐車料金
2026/03/12接待交際費2,960円岩田屋三越 手土産
2026/03/23接待交際費13,560円一休 接待飲食
2026/04/01旅費交通費800円森パーキング 駐車料金

マネーフォワードへの自動入力

Claudeはマネーフォワード クラウド確定申告を開き、「手動で仕訳」→「簡単入力」画面へ進んだ。

日付・取引内容(勘定科目)・金額・摘要を順に入力し、「登録」ボタンをクリック。

4件すべてが正常に登録された。摘要は「天神地下街駐車場 駐車料金」「岩田屋三越 手土産」のように、後から見て意味が通る形で自動生成された。

実務で使う際の注意点──会計士の目線で

軽減税率混在の処理 岩田屋のレシートは8%と10%が混在していたが、今回は2,960円として一括登録された。

厳密な税区分管理が必要なら、振替伝票で8%分(2,916円)と10%分(44円)を分けて入力する必要がある。

ここはAIが自動で分割しなかった部分で、人間のチェックが必要だ。

支払い方法の確認 天神地下街駐車場はAMEX払いだったが、「現金」で登録された。

クレジットカード払いなら貸方は「未払金」になるため、支払い方法の確認と修正が必要になる。

インボイス確認 森パーキングの領収書にはインボイス登録番号が記載されていた。

適格請求書として仕入税額控除を適用するかどうかの最終判断は、引き続き人間が行う必要がある。

結論──会計士の仕事はどう変わるか

今回の実験で確認できたのは、

「入力という作業はAIに任せられる」という事実だ。

一方で「判断はまだ人間が担う」という構図も明確になった。

科目の選択・税区分の確認・支払い方法の分類・インボイス要件の判断──これらはすべて、会計の知識と事業の文脈を合わせた「専門的な判断」だ。

AIはその下準備を高精度でこなすが、最後の意思決定は人間に委ねてくる設計になっている。

スタートアップや中小企業の経営者にとっては、「記帳の手間が大幅に減る」という実感が得られる水準に来ていると思う。

会計士・税理士にとっては、入力作業から解放された分だけ、判断・提案・経営支援に時間を使える。

ただし、今回は初めてということもあり、上記の流れを実行するのに、アクション許可実行も含め正味20分程度はかかっている。通常手入力で有れば、5分程度で終わる作業だ。

AIが会計の仕事を奪うのではなく、会計の仕事の中の「作業」部分を引き受けてくれる──今回の実験はその感触を、実データで確かめられた機会だった。


詳細については、note「会計士がAIに経費処理を任せてみたら、想像以上にヤバかった」を参照ください。

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この記事の執筆者

宮川 会計事務所 公認会計士・税理士

宮川公認会計士事務所代表
スタートアップから上場企業まで、累計1000社超の支援実績を有する。

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